どうやら当たったようだ。
宝くじではない、家に帰ってから腹痛に襲われ、下痢が止まらない。
夕飯に悪いものでも食べたか。
つらい、だがこの仕事柄、自分の身体を使って実験する願ってもないチャンスなのだ。
下痢、中毒などの場合、手技では右季肋下、痢症活点が定石だが、今の僕のマイブームはお灸。
「裏内庭」頭の片隅にあった記憶が浮かび上がってきた。
文献を調べてみる。
第二趾の根部の横紋より三分ほど足心に向かって上った処の穹隆部に穴を取る。この穴に灸して熱さを感じない時は食傷である。その熱くなるまで幾壮でも灸すると、食傷が即座に治る。実に妙穴である。
とある。
ドンピシャ!
“妙穴”の真価を試してみよう。
早速すえてみる。
不思議なほどに熱を感じない。
幾壮も灸してみる。
だんだんと感じるようになった。
部屋はけむたくなったが、僕の腹具合は今のところスッキリしている。